ネットアダルトの部屋

待機している時の気分、
なんとも言えない緊張感。
不安と期待が入り混じる。
５分、１０分と経過するが、誰もログインしてこない。
（何か間違えた？それとも魅力がないのかな？）
迷い始めた時、
突然、ログインのチャイムが鳴る。

『こんばんは、初めまして』
画面に文字が表示される。

「こんばんは、初めまして」
真由美は、文字を打つ。
相手の名前は、ヒロと表示されている。

「ヒロさんでいいんですか？」
真由美は、問い返す。

『そうですよ。ヒロでいいです。【さゆり】さん。』
その名前を見て、自分がここでは【さゆり】であることを思い出す。

「ヒロさんは、こういうチャットの経験多いんですか？」
「私、実は初めてなんで、教えてください。」

『へぇ、初めてですか。私でわかることなら教えますよ。』
「よかった。初めてがやさしい人で。」

いろんな話をしながら、打ち解けた頃、
ヒロが話し掛ける。

『ねぇ、【さゆり】さんは、エッチなことどこまでしてくれるの？』
「えっ、」
真由美は、普通の会話を楽しんでいて、
ここがどういうサイトか忘れかけていた。
『アダルトサイトだし、エッチなしではないでしょ？』
「他の人って、どんなことするんですか？本当に、知らないんです。」
『そうだなぁ、裸を見せたり、オナニーしたりかな。』

わかっていたことではあったが、その言葉を聞き、
真由美は現実に引き戻された気がした。

「裸を見せたり、オナニーもですか？」
『そうだね。お互いに気持ちよくなるように楽しんだりするよ。』
「ヒロさんも、してるんですか？」
『そりゃ、こういうサイトだからね。』

「すみません。慣れてなくて。」
『どうします？できないなら落ちますけど。』
真由美は、迷ったが、丁寧に教えてくれたヒロに対し、
この人が最初でよかったのだ、と思うことにした。

「わかりました。」
「それじゃ、リードしてくれますか？」
『いいですよ。それじゃ、マイクに切り替えて。』
「マイクですか？」
『そう、アダルトはマイクの方がいいから。』
「わかりました。少し待ってください。」

真由美は、マイクを接続して、音声に切り替えた。
「お待たせしました。聞こえますか？」
『聞こえましたよ。かわいい声ですね。それじゃ、始めましょう。』

真由美は、覚悟を決めた。

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